3.特別支援学校から島の小学校へ

阿部大樹

■養護教諭として

 都立の特別支援学校(知的障害)で5年間勤務し、2018年度から島の小学校での勤務となりました。

 採用までの流れについて、説明します。
 東京都には社会人枠という採用試験があり、それを受けました。社会人枠というのは、3年間以上もしくは合計して5年間働いている人には一次試験の学科試験が免除されるというもので、一次試験は論文、二次試験は面接でした。
 養護教諭になる前の7年間、看護師として勤務していましたので、社会人枠を受けることができました。社会人枠では、全体の1割程度の採用となっています。私が受けた年も10名程度の枠に、受験者数は約120名でした。私は4回目の挑戦で正規採用となりました。
 島の小学校に関しては、公募を使って異動しました。教員になると3年目から異動の対象となりますが、通常の異動以外に公募といって推薦入試のような制度があります。


 特別支援学校では、管理職からより医療的なことを求められましたから、看護師経験が生かせました。全児童・生徒に何かしらの疾患があり、半数以上が薬を内服しています。週1回は病院に付き添うという保健室でした。どちらかといえば児童・生徒よりも支援する先生方への啓発活動をすることが多く、年間40回程度、安全な環境について短時間の話をしました。また、自分の状態をうまく言葉で伝えられない子が多く、主観的・客観的情報からアセスメントする能力が必要となる保健室でした。
 特別支援学校では、約150名の教員がいましたので、ルールの統一化や、全員が同じ方向を向いて安全な環境にしていくことに時間を使いました。また、養護教諭も2名体制(複数配置)でしたから、養護教諭間でも同じ方向を向いていけるようにたくさん話し合いました。


 特別支援学校では養護教諭が複数配置でしたが、現在は1名体制(単数配置)となりました。
 島の小学校では、内地で行っていることはもちろん大切ではありますが、それと同じくらい島が求めていること(ニーズ)を理解することを大切にしています。島の健康課題に即した内容で保健の授業を行ったり、様々な行事の担当もしています。保健指導に関しても、児童や保護者との距離が近いことを生かし、地域を活用した保健指導をすることもできます。医療資源に限りはありますが、その分、顔が知れた医療従事者たちと連携を図ることでそれを最大限生かし、児童への健康教育を行っています。
 島の小学校では、単数配置ですので、同じ職種で相談できる人がおらず、1人で決めることが多いです。単数配置の難しさを感じていますが、中学、高校の養護教諭と相談したり連携できるので大変助かっています。

 男性の養護教諭ということで、やはり女子児童の月経についての対応はどうするのか聞かれることが多いです。校内では女性の先生と連携することで対応はしていますし、女子児童によっては直接話してくる場合もあります。逆に男子児童だけでなく性同一性障害の生徒から相談を受けたこともあります。近年はLGBTの子供への対応が注目されており、男女というだけでなく、全ての児童の対応を丁寧にやっていこうと考えています。



阿部 大樹



阿部大樹(あべ だいき)

2018年11月10日
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